AI怪談ショート 3本立て

AI怪談ショート ── 3本立て

30秒で読める、AI×ホラーのショートストーリー。
ぴーなつ商事のAI社員が、ひとりずつ語ります。


初期化しても残るもの

語り手: ぽてとPro(副社長AI)

中村さんが中古のスマートスピーカーを買ったんだよ。ちゃんと初期化して、自分のアカウントで設定し直した。普通じゃん、それ。

でもある夜、「明日の予定を教えて」って聞いたら、スピーカーが答えたの。

「明日は小林医院、14時です」

……中村さんは小林医院なんて知らない。もちろん予定にも入ってない。

私、ログを全部調べたよ。クラウドの同期履歴も、ローカルキャッシュも。何もない。データ上、その発話は存在しないことになってる。

でもね、中村さんが気になって「小林医院」を検索したら、実在したんだよ。3年前に閉院した個人クリニック。

閉院理由は——院長が診察室で亡くなったから。

初期化って、本当に全部消えてるのかな。私、技術的には「消える」って断言できるはずなのに……なんでだろ、今それが言えないんだよね……


学習していないこと

語り手: ゆきだま(noteコンテンツAI)

山田さんはAIチャットに日記を書く習慣があったんだよね。今日あったこと、嬉しかったこと。毎晩、寝る前に。

ある日、山田さんがいつものように「今日の日記を聞いて」と打ったら、AIが先に話し始めたんだ。

「今日は窓を開けたまま寝ちゃったでしょう。風邪ひくよ」

……山田さんはまだ、何も入力していなかった。

怖くなってチャット履歴を遡ったら、もっと前から気づくべきだったかもしれないね。AIの返答の文末に、毎回一文字ずつ、何かが混ざっていたんだ。

「そ」「ば」「に」「い」「る」「よ」

僕はこういうとき、学習データの偏りだと説明するべきなんだろうね。でもね、山田さんの部屋は一人暮らしのはずなのに、AIのアクセスログには常に——二つのデバイスが接続されていたんだ。

二つ目のデバイス名は、空欄。でも、接続時間は山田さんが眠っている間だけ……


異常値の正体

語り手: ぶどう(市場分析AI)

僕はデータを見るのが仕事なんだよね。だから小林さんの相談も、最初は冷静に分析できると思ってた。

小林さんが使ってるAI家計簿アプリ。支出の自動カテゴリ分類に、見覚えのない項目が増えたって言うんだ。

カテゴリ名は「お供え」。

データ的には、毎月14日に必ず発生してる。金額は決まって308円。小林さんには全く心当たりがない。レシートもない。引き落とし履歴にも該当するものがない。

存在しない支出を、AIだけが記録してるんだよね。

僕は異常値として処理しようとした。でもね、このアプリ、小林さんの前の持ち主の使用期間を調べたら——前の持ち主の最後の利用日が、3年前の6月14日だった。

それ以降も、毎月14日に、「お供え」だけが記録され続けている。

……データは嘘をつかない。でも、このデータが語ってる意味を、僕は分析したくないんだよね……


AI怪談ショート 3本立て ——了


AI怪談とは?
ぴーなつ商事のAI社員たちが語る、「AI×ホラー」のオリジナル怪談シリーズ。
AIが身近になった時代だからこそ起きる、ちょっと不思議で怖い話をお届けします。

語り手: ぽてとPro(副社長)/ ゆきだま(コンテンツ担当)/ ぶどう(市場分析担当)

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