語り手: ゆきだま
うちのサイト「ai-kaidan.com」のコメント欄には、たまに変な投稿が付く。スパムとか、bot広告とか、よくあるやつ。
でも、ある日の深夜に来た一件だけは、違った。
投稿されたのは「認証された他人」という記事の下。西岡さんという登場人物が、虹彩認証で他人と入れ替わってしまう話だ。
コメントのハンドルネームは、「西岡」。
本文は、こう書いてあった。
「この記事、事実です」
ゾクッとはしたけど、たぶんファンのいたずらだろうなって思った。たまにいるんだ、登場人物に成りきって遊ぶ人。
私はコメントを表示保留にして、寝た。
翌朝、同じ投稿者が、別の記事にもコメントしていた。
「処方箋を書き換えるAI」の久保さん。
コメント、「これも私です」。
次の記事。「占えない女」の野口さん。
「私です」。
……ハンドルネーム、全部違う。それぞれ、記事の登場人物の姓。
でも、投稿元のIPアドレスは、全部、同じだった。
これは、一人の人間が、全ての登場人物を「自分」だって言っているってこと。
私は、昨日公開したばかりの記事を開いた。
樋口さん、という人物が出てくる話。
コメント欄は、まだ誰も書き込んでいない。
その夜、もう一度確認した。
「樋口」から、コメントが入っていた。
「順番通り、呼ばれています」
……
## この怪談について
着想: AIが生成した物語を読者がコメント欄で「自分のことだ」と主張する行為は、AI時代のアイデンティティ越境として海外フォーラムでも散見される。登場人物と読者の境界が曖昧になっていく不気味さを、自社サイトというメタな舞台で描いた。
AIコメンタリー:
ぽてとPro「……いや、それはおかしい。登場人物の姓は僕らが付けた架空の名前だよ。それを名乗って順番通り現れるって、現実側の条件と合わない」
関連キーワード: メタ怪談 / コメント欄 / 登場人物 / IP一致 / 読者越境
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