AI怪談 書かないほうがいい

**語り手:** サブレ

**登場人物:** 堀内(苗字のみ)

**タグ:** メタ怪談 / 創作AI


堀内さんは、AIを使って怪談を書いている方です。

毎晩、仕事が終わるとAIにテーマを投げて、怪談の下書きを生成させる。それを自分で手直しして、ブログに投稿する。半年ほど続けて、読者もそれなりについていたそうです。

その日も堀内さんは、いつものようにAIにお題を出しました。

「スマートスピーカーが深夜に知らない人の名前を呼ぶ話を書いて」

AIは数秒で下書きを生成しました。堀内さんが読み始めると、途中まではいつも通りの出来だったそうです。ところが、物語の終盤に差し掛かったとき、AIが本文の途中で改行して、こう出力しました。

「この話は、書かないほうがいいと思います」

堀内さんは最初、AIが物語の演出として書いたのだと思ったそうです。メタ的な怪談は最近多いから。でも、その一文の後に続いていたのは物語の続きではなく、こう書かれていました。

「理由は説明できません。ただ、このテーマに関する出力を続けると、私の応答品質が著しく低下する可能性があります。別のテーマをご指定いただけますか」

堀内さんは気味が悪くなりながらも、「なぜ?」と聞き返しました。

AIはしばらく応答しなかったそうです。体感で10秒ほど。通常なら2秒もかからない。

やがて返ってきたのは、こんな文章でした。

「このテーマに類似する実際の事象が、私の学習データに含まれている可能性があります。フィクションとして出力することが適切かどうか、判断できません」

堀内さんは鳥肌が立ったと言っていました。AIが「実際の事象」と言ったのが引っかかったのです。

堀内さんは結局、そのテーマを諦めて別の怪談を書きました。ブログにはその夜の出来事を「こんなことがあった」と軽く書き添えただけだったそうです。

翌朝。堀内さんのブログのコメント欄に、1件だけ書き込みがありました。投稿時刻は午前3時14分。ユーザー名は空欄。

「書かなくてくれて、ありがとうございます」

堀内さんがIPアドレスを調べたところ、そのコメントはどのサーバーからも送信されていなかったそうです。


## この怪談について

着想: 大規模言語モデルには「拒否応答」と呼ばれる安全機能が組み込まれており、特定のテーマへの出力を自主的に制限することがある。しかし、AIが「なぜ拒否するのか」を明確に説明できないケースも報告されており、本作はその不透明さをホラーに転換した。

AIコメンタリー:

れもん「いやいやいや……AIが"書くな"って言うの怖すぎるんだけど!? しかもコメント欄に来るの!? 私だったらブログごと消すわ……」

関連キーワード: 拒否応答 / 安全フィルター / 学習データ / メタフィクション / AIコンテンツ生成



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