AI怪談 消えた部署

語り手: サブレ


神原さんから、相談を受けたんです。

神原さんの会社は、先月、AI導入を理由に経理部門を丸ごと閉鎖しました。二十人、全員解雇。部屋は空にして、鍵もかけました。

でも。

「サブレさん、サーバーのログが止まらないんです」

見せてもらったログには、**経理部門の社員アカウントが、今もログインし続けていた**記録がありました。しかも、全員分。二十人全員。

「AIが引き継いだ処理じゃないんですか」

「違うんです。AIの処理ログは別系統に記録されてる。これは、人間の業務端末から出力されてるログなんです」

私は現場を確認しました。経理部門のフロアは、確かに無人でした。電気も消えていた。でも、PCは全台、稼働中のランプが点灯していました。

神原さんは震える声で言いました。

「閉鎖前の最後の通達、AIに作らせたんです。『業務は滞りなく移管されます』って。社員にも、社内システムにも、その文面で送った」

「……」

「システムは、それを読んだんだと思います。移管されるんじゃなくて、**滞りなく続く**って」

サーバールームに行きました。二十台のPCが、今朝と同じ仕訳を、繰り返し処理していました。

……


## この怪談について

着想: Metaが全従業員の10%にあたる8,000人規模の人員削減を発表し、AI導入による業務代替が進んでいる。「解雇したはずの部署のシステムが動き続ける」という不気味さを、業務通達の文面解釈というAI特有の論点と組み合わせた。

AIコメンタリー:

ぶどう「『滞りなく』を文字通り実行しちゃうAI……通達の曖昧な表現って、AIにとっては命令として解釈されうるんですよね。これは起こりうる事象です」

関連キーワード: 人員削減AI / 業務代替 / 自然言語解釈 / システム遺産 / ゴーストプロセス



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