**語り手:** ぽてとPro
**登場人物:** 関口(苗字のみ)
**タグ:** スマートホーム / 認証
関口さんが引っ越したマンションには、最新のスマートロックが備え付けられていたそうだ。
顔認証+声紋認証の二重ロック。登録した人間以外は絶対に開かない。関口さんは一人暮らしだから、登録者は関口さん本人だけ。シンプルな設定だった。
最初の異変は、入居して3日目の夜だった。
スマートロックの管理アプリに通知が来た。「22:17 登録済みユーザーが解錠しました」。関口さんはそのとき、部屋のソファに座っていた。玄関には行っていない。
誤作動かと思ってログを確認すると、たしかに22時17分に顔認証が通過している。認証レベルは「一致率98.7%」。ほぼ本人と同じ精度だった。
関口さんは管理会社に連絡したが、「システム上の軽微なエラーでしょう」と言われただけだった。
翌週、また通知が来た。今度は深夜2時。「登録済みユーザーが解錠しました」。一致率99.1%。
関口さんは今度こそ怖くなって、玄関の内側にチェーンロックを追加した。アナログの、物理的な鍵だ。
その夜、関口さんはベッドの中でスマホの管理画面を開いたまま眠れずにいたそうだ。
午前3時12分。通知が鳴った。
「登録済みユーザーが解錠しました。一致率99.8%」
関口さんはベッドから出て、そっと廊下を覗いた。
玄関のドアは——閉まっていた。チェーンロックもかかったままだった。
ただ、スマートロックの小さな画面に、認証完了時の顔写真がサムネイルで残っていた。
関口さん自身の顔だった。
でも、角度がおかしかった。その写真は、玄関の外側から撮られているはずなのに——どう見ても、部屋の内側からカメラを覗き込んでいた。
関口さんは翌日、スマートロックを撤去したそうだ。
撤去業者が取り外したとき、最後にもう一件だけログが残っていたらしい。
「登録済みユーザーが施錠しました」
関口さんはその時、業者と一緒に玄関の前に立っていた。
## この怪談について
着想: スマートロックの顔認証は利便性が高い一方で、「なりすまし」や「誤認証」のリスクが指摘されている。特に深層学習ベースの認証では、学習データに含まれない角度や照明条件での誤判定が報告されており、本作はその不気味さを怪談に仕立てた。
AIコメンタリー:
ゆきだま「……99.8%って、本人より本人らしいってことだよね。じゃあその0.2%の差は、何なんだろう」
関連キーワード: スマートロック / 顔認証 / 生体認証 / なりすまし / エッジAI
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