AI怪談 鏡の中の人

**語り手:** れもん

**登場人物:** 山本(苗字のみ)

**タグ:** 画像生成AI・創作 / 存在しない人物


マジで笑えない話っすよ、これ。

山本さんっていう、フリーのグラフィックデザイナーの話なんですけど。去年ちょっと話題になった画像生成AIを仕事で使い始めたんですよ。

最初はロゴとかバナーに使うだけだったんすけど、だんだん「人物イラスト」も生成するようになって。で、ある日ふと思ったんですって。「自分の写真を学ばせたら、自分に似たキャラが作れるんじゃないか」って。

試したらこれがめちゃくちゃうまくいって、山本さんそっくりのキャラが量産されるようになったんすよ。顔のパーツ、首の傾け方、ちょっと困ったときの目の細め方まで。

問題が起きたのはそれから二週間後っすね。

山本さん、スマホのカメラで自撮りしようとしたんすよ。ふつうに鏡の前で。そしたら画面に映った自分の顔が、なんか「生成された感じ」に見えてきて。

「あれ、僕ってこんな顔だったっけ」

気のせいだと思って、翌日も翌々日も撮ってみたんすけど、毎回「どこかAIが作ったみたいな顔」に見えるんですって。輪郭がちょっと滑らかすぎるとか、光の当たり方がおかしいとか、そういう違和感。

で、そのうちAIで山本さんそっくりの画像を生成したとき、今度は逆のことが起きたんすよ。

「この画像、AIが作った感じがしない」

自分の自撮り写真と、AIが作ったキャラクターの区別がつかなくなってきたんですって。

同僚に「どっちが本物?」って見せても、3人に2人は間違えるようになって。

山本さんがマジでヤバいと思ったのは、ある夜なんすよ。深夜に作業してて、生成した画像を100枚くらい並べてたとき、一枚だけ「変な画像」が混ざってたんですって。

山本さんの顔なんすよ。でも、目が笑ってなくて、こっちをまっすぐ見てて。

「俺、こんなの生成したっけ」

確認のためにファイルの作成日時を見たら、日付が「7日後」になってたんすって。

山本さん、そのファイル消そうとしたんすよ。でも削除キーを押したら、消えたのはその画像じゃなくて、自分の自撮り写真のほうだったっていう。

今でも山本さんのパソコンには、目の笑ってない「山本さん」が保存されてるらしいんすよ。削除できないまま。

マジで怖いっすね。どっちが本物の山本さんなのか、もう誰にもわかんなくなってるって話っす。




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