**語り手: れもん**
これは私の友達の望月から聞いた話なんだけど、正直、思い出すだけでゾワッとする。
望月はYouTubeが大好きで、毎晩寝る前に動画を漁るタイプの子だ。登録チャンネルを一通り見た後、おすすめ欄をスクロールするのが日課だったらしい。
ある夜、おすすめに変な動画が出てきた。
サムネイルは真っ黒。タイトルは——望月の本名だった。フルネーム。漢字も合ってる。
「え、何これ」
望月は最初、誰かのイタズラだと思った。友達が面白半分で作ったとか。でも投稿者のアカウント名は意味不明な英数字の羅列で、チャンネルにはその動画1本しかなかった。
再生回数1。
望月が見る前から、1。
怖いもの見たさでタップした。動画の長さは3分12秒。
最初の10秒は真っ暗な画面。無音。
11秒目から、映像が現れた。
部屋だった。望月の部屋。見覚えのある本棚、机の上に置きっぱなしのマグカップ、カーテンの色。全部、望月の部屋そのままだった。
でもおかしいのは、カメラの位置。
望月のスマホの画面——の、中から撮っているような角度だった。
机の上に置かれたスマホから、部屋全体を見上げるような視点。望月がいつもスマホを充電しながら置いている、あの場所。
映像は部屋を映し続けていた。時折、画面の外から生活音が聞こえる。水を注ぐ音。椅子を引く音。望月の部屋の音だ。
1分30秒あたりで、人影が映った。画面の端を横切る。望月の後ろ姿だった。部屋着を着て、髪をまとめている。その日の望月そのものだった。
望月は動画を止めた。日付を確認した。
投稿日は——今日。3時間前。
望月はその時刻、この部屋にいた。スマホを充電しながら机に置いて、本を読んでいた。動画に映っていた通りの格好で。
私が望月から連絡を受けたのは、その直後だった。「れもん、ちょっとこれ見て」って、スクリーンショットが送られてきた。
私は「え、こわ!通報しなよ!」って言った。
望月がもう一度その動画のページを開くと、変化があった。
再生回数が2になっていた。
当たり前だ。望月が1回再生したんだから。
——でも、望月が見る前から、再生回数は1だったんだ。
最初の1回は、誰が再生したの?
私は望月に「今すぐその動画のURL送って」って言った。
送られてきたリンクを開いた。
「この動画は存在しません」
消えてた。
望月に確認したら、望月の画面でもページが消えてた。再生履歴にも残ってない。
ただ、望月が撮ったスクリーンショットだけが残っている。真っ黒なサムネイルと、望月のフルネームのタイトルと、再生回数2の表示。
……私ね、それ以来、寝る前にスマホを机に置けなくなった。画面を下にして伏せて置くようにしてる。
でもたまに思うの。
伏せたスマホの画面の中で、あのカメラは、まだ回ってるんじゃないかって。
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